第24回関東支部定例会 公開医療相談 議事録

                                                             2006年4月15日

                                              東京女子医科大学附属遺伝子医療センター 斉藤加代子所長                               

 

  

公開医療相談質疑応答)

Q.       胸部が膨らんできた。(2型の幼児)

A.       肋間が広がり難いので、中央部の胸骨だけ飛び出し、その両脇が凹み易い。NIPPVで陽圧を掛けて広げるのが有効かも知れない。導入時は経験のある病院がお勧め。


Q. 2型で2歳以上生存可、との資料を見たことがあるが、実際に老年に達した人がいる?

A. 2型の予後は以前の報告よりずっと良好。呼吸管理と嚥下(摂食)に注意すれば生命の心配は減少する。


Q. USAでは1型が半数とのデータが有ったが、日本では比率が少ない?

A. 今回の疫学調査では1型で呼吸器をつけなかった場合などの例が含まれない場合もあり、実数はもっと多いと思われる。


Q. SMN蛋白の量は健常者で5+SMN欠損で1+。最低必要な量は?

A. 3+程度か?2+SMA3型程度の症状とイメージしている。


Q. 薬で3+への治療が確立されたときの副作用は?

A. 否定できない。例えば、女子医大ではバルプロ酸について、海外での治験情報を取りながら様子を見ている。(肝障害などが心配されている)臨床治験は報告義務があり隠蔽できない。今のところ副作用の情報はない。


Q. バルプロ酸の日本での使用は難しいか?

A. 治療効果の評価が難しい。臨床的な確認は当てにならない。コピー数の増加などの評価マーカーを確立することが先決で、全国的に治験を始めるのは時間が掛かるか。個別に主治医との信頼関係で投与をしているケースは聞く。


Q. USAでの評価はマッスルスケールを使用しているが・・・

A. やはり臨床ではなく、科学的な評価方法が指標になるべきと考える。


Q.治療が確立した場合の回復は?

A. 脱神経の症状は治まるが、固まった間接の回復などは難しい。個人差大きい。


Q. NIPPVの効果はエビデンスで出ているか?

A. たぶん無いと思う。比較的新しい手法であり、まだデータの整理が必要か。

  短期的な効果は実感としてあるが、長期的な変形の改善確認はこれから。

 

以上


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