第3回 公開医療相談 議事録

       「リハビリ相談」                                                       2000年4月22日

                                                      東京女子医大 r理学療法士 安達みちる先生                                

 

  
(1)関節拘縮について

  [関節拘縮とは]
    ある程度は動くが、関節の可動範囲が狭くなる状態。
  [原因]
    以下の要因により、皮膚・筋肉・腱・靭帯・軟部組織がつっぱる。
    ・関節を動かす為の、縮む側および伸ばす側の筋力のアンバランス。
    ・長時間同じ姿勢でいる。
  [拘縮しやすい関節部位]
    肩・股関節・膝・手首・足首・指など
    SMAでは体躯に近い部位から筋力が低下することが多いので、関節の拘縮も同様の順に起こりやすい。
  [対策]
    ・拘縮しやすい関節を知っておく。
    ・注意が必要な関節は特に、普段から動かして状態を確認する。
    ・自力や手伝ってもらい、関節を伸ばす。(足を伸ばしてうつ伏せになる等)

(2)側弯症について

  [側弯とは]
    脊椎の曲がり、ねじれなどの変形。
    側弯により、座位がとり難くなったり、肺などの内臓が変形する弊害がある。
  [原因]
    左右の筋力の非対称や、筋力低下からくる姿勢の変形が原因。SMAの場合、立位が困難になり座位に移行すると
    発症しやすいので注意。
  [対策]
    ある程度姿勢が崩れるのはしょうがないが、側弯でも曲がったまま固定化されない為の予防法を中心に考える。
     a.出来れば立位・歩行は側弯予防に有効。
     b.自力や手伝ってもらい、脊椎(背中)を伸ばす。(うつ伏せで頭を上げる、仰向けで背中を持ち上げる、バンザイする、etc.)
     c.座位姿勢をチェックし、手が動かし難くならない程度に修正する。(コルセットや、パットで背中を伸ばすように工夫した椅子等を利用。)

(3)リハビリに関する質疑応答
   Q.適度な運動の目安は?
   A.疲労が残らない程度に。子供の場合は頑張り過ぎる場合あり。機嫌が悪くなるのを限度の目安とする。ヤダと言うのを
     無理にさせない。

   Q.就寝中に激しい足の痛みを訴えられ、伸ばしてあげると楽になる。足が以上に熱くなることも多い。
   A.寝返り出来ない為に関節が固定化される不快感や、体重の掛かる場所が一定になってしまう痛みはある。
     自動的に動くエアーマットやウォーターベットは好評。激しい痛みは筋肉が痙攣している可能性あり。
     SMAだから痙攣しやすいとの話は聞かないが、今後、本人の診断により確認する。
     対処については、基本的に患者が楽になるのであれば問題無い。
     足が異常に熱くなることについては、SMAの場合に自律神経の調節がうまくいかない場合あり、 布団の掛け外し等で
     調節してあげて欲しい。

   Q.片足が内反足だが、矯正用の装具は片側だけで良いか?
   A.単純な関節の変形だけではなく、SMAの場合は筋力も低下している。
     重い装具を片足に付け、逆に左右差がひどくなる様であれば、両足の方が良いかもしれない。
     装具の作成時は業者・医師と相談し、どちらでも変更可能にできると良い。

以上


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