第2回 公開医療相談 議事録

                                                                        2000年1月22日

                                                                   東京女子医大 斉藤先生

 



  1. 5歳から肺活量を測定出来ると聞いたが、その意味は?
    ・呼吸系の筋肉の状態を知ることができる。
    ・1回の測定だけでなく定期的に継続することで、呼吸筋の状態がより分かる。
    ・総合病院であれば、たいてい測定器具は持っている。
    ・5歳では難しいかもしれない。7歳程度は出来ると思う。
  2. 幼児の場合、ほかの人との交わりを増やしたいが、どのような方法が良いか?
    [会員の意見]
    ・育児教室、保育園、幼稚園などは行かせてよかったと思う。
    ・障害を理由に断られることもあるが、最近はだいぶ改善されている様子。積極的に探した方が良いと思う。
    [医者の意見]
    ・外に出る機会が増えると感染症の予防が必要。特にインフルエンザ。主治医によってはインフルエンザの予防接種に消極的な人もいる。東京女子医大ではアレルギー反応のテストに問題無ければやっている。今までは特に問題無し。
  3. トイレに関してどんな問題があるか?
    [会員の意見]
    ・小便はまだ良いが、大便に関してはかなり問題。解決されていない。
    ・トイレに棚状のスペースをつくり、そこで着脱衣できると楽。
    ・東海道新幹線は比較的良いトイレがあった。
    ・介助の苦労を考えるとトイレを我慢するようになる。そのためにあまり水分をとらない。水分を取らないと以下の問題あり。注意が必要。
    尿路結石になりやすい
    痰が出にくい
    筋ジスは血栓症になりやすいが、もしかしたら血液中の水分が少ない為かも?
  4. 皮膚の炎症がなかなか治らないが、SMAと関係あるか?
    ・SMAとは関係無いと思われる。
    ・長引く場合は皮膚科の専門医に見てもらって方が良い。
  5. 家庭の便利グッズなど紹介してもらえないか?
    ・各家庭でこれはと思うものを写真にとり、別途の機会に情報交換したらどうか。
  6. 子供に、「僕はどうして歩けないの?」と聞かれてどう答えたら良いか?
    ・ケースバイケースで一概には言えない。子供の理解度や、どんな返事を期待しているか、どういったら安心するかを考える。
    ・正直に話すことは必要だが、結論を急ぐのではなく少し間を置き、一緒に考えてみたらどうか。難しい問題なので、別途にディスカッションをした方が良い。
  7. 関節が硬くなりやすい場所はあるか?
    ・症状の重い場所、使わない場所がどうしても硬くなりやすい。
    ・2型の場合、側彎になり易い。骨の成長期に車椅子に乗っていることが多い為。SMAの特徴である肋間筋の萎縮により、胸郭の成長が背骨の成長に追いつかず、成長とともに伸びた背骨が変形する。NIPPV(経鼻的間欠的陽圧呼吸=鼻から強制的に空気を肺に送り込み、肺を広げる)はリハビリ的に側湾に有効かもしれない。
  8. NIPPVを始めたら癖になってやめられなくなるのでは?
    ・そのようなことはないと思う。
    ・夜間の血中酸素濃度を測定し、減っている時間が長ければ、血液中の二酸化炭素が増えている可能性がある。その場合、肺の換気がうまくいかず、睡眠中に生命の危険性も出てくる。そのような場合は、NIPPVを使用し始める方が良いと思う。
    ・器械は持ち運びやすく、旅行でも問題無いと思う。定期的なチェックが必要。
  9. クレアチンの副作用は?
    ・特にないと思う。
    ・エネルギー代謝が活発になる薬。脳内で代謝が活発になると、ひきつけの傾向がある人は注意が必要。SMAではひきつけの傾向はないが、クレアチン治療をする場合に定期的に脳波測定をした方が良いか。
    ・要望もあるので、今後、東京女子医大内でSMAの治療として使えるか検討を続ける。
以上

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