第1回 公開医療相談 議事録

                                                                   1999年11月27日

                                                          東京女子医大 斉藤先生、宍倉先生                                

 


  1. 側弯症、後弯症の予防法は?
    ・今回リハビリ専門の先生が参加していないので、次回以降に返答予定。
  2. SMAと合併する病気はあるか?
    ・とくに無いと考えている。
    ・停留睾丸はどうかとの質問があったが、その病気自体で患者数が多い(1人/20〜30人程度か)ので、SMAとの関連は無いと思う。
    ・手術治療は一般と同じで良いが、SMAの症状が強い場合は麻酔に注意。SMAをよく分かっている大きい病院で受ける方が良い。
    ・SMAの症状に起因する病気は有る。特に呼吸器系は注意が必要。呼吸に関係する筋肉は主に肋間筋、横隔膜の2つあるが、SMAでは肋間筋が弱くなる。(横隔膜は割合良い。)よって肺を広げられず、気管支が狭くなり易い。大声を出す、歌を歌う、笛を吹く等で肺を広げるようにするといい。消化器系への影響は特にないと思うが、腹筋の筋力が弱い為の便秘や、ストレスによる胃炎、胃潰瘍は時に有る。間接は硬くなりやすい。リハビリで対処。
  3. 夜中に咳き込むことが頻繁にあるが、対処法は?
    ・まず、喘息かどうか、かかりつけの医者に見てもらった方がよい。
    ・唾液が気道に垂れ込むために咳き込むことも考えられる。上向きに寝かせると垂れ込むことがあるので、横向きに寝かせた方がよい。
    ・うつぶせにすると痰が出やすい。
    ・介助は背中を叩くより、呼吸に合わせて両脇から両手で胸を抱え、震わすようにして肺を押しあげるようにすると痰が出やすくなり楽になる。
  4. SMAとALSの違いは?
    SMA ALS
    遺伝性 常染色体性劣性遺伝 一部は常染色体性優性遺伝(その他は孤発例)
    病変部位 主に脊髄前角細胞、下位ニューロンへ影響へも影響 脊髄側索下位だけでなく上位ニューロンへも影響
    腱反射 弱い 病初期に亢進(過度に反射)
    発症時期 0歳から成人まで 早くても10代以降
    SMAでも脊髄側索、脊髄後索(知覚に影響)に病変があることもある。
    SMAとSPMAは同じ病気。SPMAのPはProgressive(進行性)の意味だが、最近は省くようになっている。医者によってはPをつける場合もあるが、国際的にはSMAで通っている。
  5. SMAの治療薬は?
    薬品名 効果
    リルテック ALSの治療薬。細胞レベルでグルタミン酸を抑制する。SMAへの効果があるかは確認されておらず、海外で使用例あるがその結果は報告されていない。日本ではSMAの診断では薬を出せない。SMAが進行中の場合はグルタミン酸が細胞レベルで増加していて、影響があるかもしれないので効果の可能性はある。進行が止まっている場合はグルタミン酸の過剰は考えられず、リルテックの効果はないと思われる。
    ガバペンチン 基本的にリルテックと同じ。海外で検討されているが、まだ結果は報告が出ていない。
    エパデール 動脈硬化の薬。
    クレアチン 筋肉構成成分の一種。アメリカ大リーグのマグワイヤ選手が服用していることで有名。東京女子医大ではミトコンドリア脳筋症で治療効果判定中。現在のところ効果が見られており副作用もあまりない。SMAについては実施するか検討中。要望があれば前向きに考えるが、大学の倫理委員会を通さなくてはいけない。行うとすれば一週間程度入院しながら効果と副作用を確認後、外来で検討する。効果の評価方法等、検討課題あり。
    TRH 神経伝達物質。TSH(甲状腺刺激ホルモン)を脳内で遊離させるホルモン。脊髄小脳変性症への効果は実証されていて保険適応がある。SMAについて東京女子医大でも数件治療をした経験がある。注射を使うことが難点。国内製薬メーカーから飲み薬がでるとの話あり待っているが、遅れている様子。

    以上

戻る