20031127

厚生労働省健康局長     田中 慶司殿

厚生労働省健康局疾病対策課長 藤井 充殿

     SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会
                      会長 愼 蒼健


要 望 書

 拝啓 日頃より難病対策の推進にご尽力賜りましてありがとうございます。

 SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会は、SMA(脊髄性筋萎縮症:ウェルドニッヒ・ホフマン病とクーゲルベルグ・ヴェランダー病を含む)本人とその家族を中心として、それを支援する医療関係者をはじめとする専門職やボランティアなどから構成される団体です。

 脊髄性筋萎縮症とは、脊髄の運動神経細胞の変性によって起こる重篤な筋萎縮症であり、現在では発症年齢と症状の程度によって国際的には主に三つの型に分類されております。そして欧米では筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じく運動ニューロン病という同一の範疇に分類されている疾患です。しかし我が国においては、SMA各型の分類は長いこと診断する医師によって統一されたものではなく、現在でも脊髄性筋萎縮症のほか、脊髄性進行性筋萎縮症、ウェルドニッヒ・ホフマン病、クーゲルベルグ・ヴェランダー病などさまざまな確定診断名が存在することにより、本質的に同一疾病にもかかわらず、臨床現場にて大きな混乱を招いているケースも目立ってきております。とくに脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)という名称は欧米ではほとんど目にすることのない疾患名であり、脊髄性筋萎縮症(SMA)と呼称されている点には留意する必要があります。

 脊髄性筋萎縮症はいわゆる神経難病に数えられ、希少かつ治療法が未確立であり、後遺症を残す恐れが少なくありません。また経過が慢性にわたるため、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するなど家庭の負担が重く精神的にも負担の大きい疾病でもあります。とくに最も重篤である脊髄性筋萎縮症T型においては、同じ運動ニューロン病に属する筋萎縮性側索硬化症と同じく長期にわたる人工呼吸管理や医療的ケアなどが必要にもかかわらず、今まで難病対策としての施策が行き届いて来ませんでした。その証拠として東京都では昨年度から都単独の判断と予算にて脊髄性筋萎縮症という名称において特定疾患治療研究事業に新規認定したことはご案内のとおりでございます。

 そこで当会では、今回以下の事項を強く要望させていただきますので、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

敬具

要 望 事 項

   1.       SMAを脊髄性筋萎縮症という名称において、これを国の特定疾患治療研究事業に新規指定し、公費負担の形で本人及びその家族の療養生活にかかる経済的負担の軽減、及び原因の究明、治療方法の開発等が画期的に進むようご配慮いただきたくお願い申し上げます。

2.       SMAの難治性疾患克服研究事業における疾患名を脊髄性進行性筋萎縮症から、脊髄性筋萎縮症に変更し、今後は診断された病名で不利益を蒙ることのないようにご配慮をお願い申し上げます。

3.       脊髄性筋萎縮症が、同じ運動ニューロン病である筋萎縮性側索硬化症と同様の難病対策としての施策を享受できるようにご配慮をお願い申し上げます。



【連絡先】

 福島 慎吾/SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会副会長兼関東支部長

        〒113-0033 東京都文京区本郷1-15-4文京尚学ビル6階

        特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク内

        電話03-5840-5972




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