難病のこども支援映像プロジェクト              
『自立するための電動車いす
〜幼年期の記憶〜ご案内


 電動車いすを操作する子どもの姿は、「SMA家族の会」の中ではもはや当たり前の光景になっておりますが、一歩外に出ると、SMAの子どもを取り巻く環境には、まだまだ理解が得られていない現状があります。その現状に風穴を開けるために企画・作成されたのがこの映像です。


    参考資料 ●映像プロジェクト「フレンズ」の企画内容について
           ●ビデオ映像『自立するための電動車いす』の完成報告





 難病のこども支援映像プロジェクト 『自立するための電動車いす〜幼年期の記憶〜』DVDを、ご希望の会員の皆さんにはお配りしています。送料は自己負担となります。DVDをご希望の方は事務局までお申し込みください。

*各方面からご好評を頂き、当初用意しておりましたビデオは配布完了となりました。現在ではDVDのみの配布となっております・・


    
 DVDジャケット (会員のくぼりえさんのデザインです)              





 
 
その他、DVDに関するお問い合わせ等は事務局までお願い致します。

        お問合せ先:事務局   









 映像プロジェクト『フレンズ』の企画内容について

                                           慎 蒼健 (本部副会長、『フレンズ』担当)

                                             2004年11月号機関誌『ファミリー』より


 2004年4月、SMA家族の会は難病の子ども支援映像プロジェクト『フレンズ』に応募し、その対象団体に選考されました。簡単ではありますが、本プロジェクトの概要を説明し、私たちが提出した申請書の企画内容をお知らせいたします。

 本プロジェクトの目的は、難病固有の問題について当事者たちのおかれている状況の理解の促進や自立への啓発活動、それらを支援する人々の活動を紹介することにおかれ、2003年より募集が始められました。特定非営利活動法人難病の子ども支援全国ネットワークが主催団体として選考を行い、映像制作(撮影技術や関連ノウハウ)については株式会社電通テックが無償にて提供、映像の編集、複製に関わる費用は、社会福祉法人中央共同募金会の助成を利用することになっています。

 私たちが企画する映像は、SMA家族の会を紹介するためのビデオではありません。ビデオ・タイトルは、暫定的に「電動車いすは自律性獲得の第一歩!」と決めました。ビデオの制作の目的は、(1)保護者、(2)医師や理学療法士などの医療関係者、(3)保育・教育関係者、(4)自治体担当者、の四者に向けて、早ければ2〜3歳段階から、SMA本人の自律性確保の条件として電動車いすの操作が必要であると伝えることにあります。

 SMAの子どもたちは、下肢機能障害によって生じる歩行能力障害のため、他者と交わることに大きな障害を抱えています。2000年頃から一部の自治体で3歳児に電動車いすを交付する事例が生まれていますが、多くの治自体は、「小学校高学年以上」という内規を盾にして、あるときには「操作能力」や「安全性」を疑問視して、未就学児に対する電動車いす交付を認めていません。また医師や理学療法士の中にも、SMAの未就学児が電動車いすを操作することに積極性を見出さない人たちがいます。こうした否定論の背景には、悪しき前例主義の蔓延(「前例がありません」)、障害児の自立性を軽視する風潮(「操作能力に問題があり安全性が確保できません」)、段階論的なリハビリの発想(「まずは機能訓練が必要で、電動車いすの早期導入は筋力低下などを招きます」)、など、いずれにせよ、(1)から(4)の人たちの思考停止状態があります。

 私たちはこの思考停止状態に風穴を開ける映像を作りたいと考えています。2〜3歳での電動車いす交付・使用を考慮する際に最も重要な点は、「電動車いすを自由に安全に操作できるのか」という「運転免許証交付」に見られる警察的な考え方から脱却し、「電動車いすを操作することで自由を獲得できる」という自律性抑圧からの解放に考え方をシフトすることです。このメッセージが執拗低音として流れる、効果的な映像を2004年内に制作する予定です。ご期待ください。





●ビデオ映像『自立するための電動車いす』の完成報告

                                          慎 蒼健 (本部副会長、『フレンズ』担当)

                                             2005年11月号機関誌『ファミリー』より


 2004年11月号の機関誌『ふぁみりー』において、SMA家族の会は、NPO法人難病の子ども支援全国ネットワークの主催する映像プロジェクト「フレンズ」に選考されたことを報告しましたが、2005年3月、鞄d通テックの技術協力を得て、『自立するための電動車いす』が無事完成しました。

 ご承知の通り、SMAの子どもたちは、下肢機能障害によって生じる歩行機能障害のため、他者と交わることに大きな障害を抱えています。2000年頃から一部の自治体で3歳児に電動車いすを交付する事例が生まれていますが、多くの自治体は『小学校高学年以上」と言う内規を盾にして、あるときは「操作能力」や「安全性」を疑問視して、未就学児に対する電動車いす交付を認めていません。このビデオはこうした現状に風穴を開けるために企画、作成されました。

 実際に完成した作品を見てみると、この映像を企画した私たちにも新しい発見がありました。子どもが電動車いすを操作しながら遊んでいる何気ないシーンですが、カメラマンは少し離れた場所から映像をとるだけでなく、実際に動いている電動車いすにCCDカメラを搭載しました。風を切って電動車いすで動いていく視線に、見る側は自分の視線を一体化させるため、私たちのの見ている風景は普段と一変します。私たちは親として、大人として子どもを見ているわけですが、専門家による判定を受ける側にいる子ども、大人の視線から見られる子どもが、実はそれ以上の存在であることを再認識されます。

 このビデオ映像は、会員の皆さんに使ってもらうために作成したものです。次のように、使用することが出来るのではないでしょうか。

(1)現在、電動車いすの交付申請をしている方、もしくは申請しようと思っている方は、このビデオを是非とも自治体の職員と一緒に見  てください。(ビデオを渡して「見て下さい。」という態度はいけません。)
  千葉県船橋市 障害福祉課の課長が、3歳で電動車いすを交付した理由を述べています。また、電動車いすの交付に関しては、   対象児童が「小学校高学年以上」という厚生労働省の通知が存在しますが、この通知には法的拘束力がないことも説明していま   す。あくまでも通知は技術的助言であり、交付に関する判定は各自治体が合理的に行うものです。

(2)医師が意見書を書くことに躊躇している場合には、医師にも見せてください。斉藤加代子先生(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)と  榊原洋一先生(元東大病院小児科医局長、現お茶の水女子大学教授)が、2歳から3歳のSMA児童に電動車いすを交付することの意義を話しています。

(3)学校で電動車いす使用を認めない場合には、校長や担任と一緒にビデオを見て下さい。SMAの小学生が電動車いすを操作しながら通学するシーンや、満面の笑みを浮かべ滑走するシーンなどが映し出されています。

 最後になりましたが、この映像を作成していく段階で、多くの方々から取材をさせていただきました。ここに名前は挙げませんが、惜しみなくご協力を頂いた、すべての方々に感謝を申し上げます。また、既に述べたとおり、今回の映像には私たちの意図を良い意味で越えていくシーンが数多く見受けられます。これは紛れもなく、実際のシナリオ作りから編集までを担当された方々(電通テックとピクト)のプロフェッショナリズムの産物です。何回もの細かい打ち合わせを重ね、あるときは私たちの厳しい「ダメだし」にも応じてくださいました。皆さんの熱意に私たちはむしろ励まされていたことを、この場を借りて申し上げたいと思います。

 このビデオは、11月(2005年)に開催される千葉県 市町村職員向けの研修会で、上映する予定です。自治体職員の人権意識を変えるためにも、積極的にこの作品を使用していきたいと考えています。

 なお、このビデオ映像を入手されたい方は、SMA家族の会 事務局まで連絡をください。お待ちしております。








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