「インドネシアの海辺と私」
町田市立金井中学校 一年 戸津亜里紗
私の父は民族文化の研究でよくインドネシアに行きます。私も小さい頃から夏になると父と一緒にバリ島や、ロンボク島、ジャワ島に行くようになりました。インドネシアは日本と違っていることがいっぱいあって、とってもおもしろいです。特に私は、サンゴや、イルカ、熱帯魚、色々な貝がらがいっぱいの海が大好きです。
それで、私はインドネシアの海辺で体験したことについて書きます。
(一)クタ・ビーチと物売り
バリ島には有名なクタ・ビーチという所があります。ここは、サーフィンをしたり、夕日を見に来る人でいっぱいです。私が行くと、バリ人の子供やお兄さんやおばさん達が集まってきて、飲物やアクセサリーなど色々な物を売りに来ました。皆んな、日本語がうまくて、びっくりしました。その中の女の人が「アリサ、去年もここに来たでしょう。」と話してきました。すごい記憶力です。しばらく色々な話をした後、「アリサ、買い物するね?」と、色々なネックレスを出してきました。その中に私の好きなイルカのネックレスがあったのでちょっと欲しいなと思ったら、父が教えている大学生で超貧乏旅行をしている西川さんが3万ルピアで買ってくれました。日本円で五百円位です。西川さんの泊まっているホテル代より高いので、悪いなあと思いました。後で父に聞くと三十円位で買えるそうです。そして、西川さんは、一人でスンバ島の旅に出かけて行きました。別の日、海でまたあの女の人に出会いました。私は女の人が前につめ切りを欲しいと言っていたのを思い出して、隣にいた父に、「つめ切り、あげてもいい?」と聞いたら、父は、「タダであげるのはもったいないからなあ。」と言って、自分の手と足のつめを切ってもらいました。私は、なんてちゃっかりしてるんだろうと思いました。
(二)シンバラン・ビーチとたこ先生
バリ島の飛行場の近くにあるジンバラン・ビーチは、波がおだやかで、白くて広い砂浜があって、私の好きな場所です。特に私がここを気に入っているのは、桜貝がいっぱいあることです。車椅子で歩くことのできない私にも、ここでは砂浜に座っているだけで、美しいピンク色の桜貝をいくつも見つけることができます。来るたびに集めた桜貝が、今かなりの量となっています。いつか、置き物の下かなんかに、桜貝をしきつめたらきれいだと思います。
このビーチには物売りたちは一人もいません。その代り、ここに来るたびに毎年必ず出会う、ラヤン・ラヤン(たこ)先生がいます。この先生は、北海道の小学校の先生で、いつも私たちと同じ時期にこのビーチに来ています。どうして私が、ラヤン・ラヤン(たこ)先生と呼んでいるかというと、この先生の趣味がたこ上げなのです。この先生はたこ上げをするために毎年バリ島にやってきます。バリ島では、ラヤン・ラヤンを上げるのは、子供だけではなく、若者からおじいさんまでいます。大きい物は、大人が、五、六人いないと持ち上がりません。ふつうは鳥の形のですが、船の形をした物や色々です。私も、小さいのを二つ持っています。
このたこ先生は、今まで四年間もたこ上げに夢中になってきましたが、いつも失敗してきました。上げたかと思うと、糸が切れて飛んでいき海に落ちるのくり返しだったそうです。海にたこを落とすたびに、たこを買いに行くので、村に出ると、見知らぬ人にまで、ラヤン・ラヤン先生と呼ばれて人気者だったそうです。
そして、とうとう、今年になって、たこが上がりました。そのたこは、雲の上まで飛んで行きました。
(三)ギリ・アエル島の海辺とチドモ(馬車)
ロンボク島にはギリ・アエル島、ギリ・プラガワン島、ギリ・メノ島という、三つの小島があります。一つ一つの島は少しずつふんい気が違い、中でも私の最も好きな島はギリ・アエル島です。
ギリ・アエル島の海は波が全くなく、色はエメラルド・グリーンで、すきとおっています。白い砂の海辺には、美しい貝がらやサンゴもたくさんあります。海辺にそって続いている小道は、砂地なので車椅子の私が移動するのは大変です。その代わり、チドモという馬車が走っています。小さい島なので、島を一周する小道に、車はありません。そして、なんとチドモを運転しているのは、小学校四、五年生位の男の子でした。この島には学校がないので、別の島にまで船で行くそうですが、いつ学校に行っているのか不思議でした。馬の運転の方法は、見ていると、チュッ、チュッという音で前に行き、ポッ、ポッという音で止まることがわかりました。私も頼んで、綱をもってホテルまで運転させてもらいました。私が出すチュッ、チュッという音で、馬が進み始めたので、とても嬉しく思いました。
島の中は小道の両側に生えるヤシの木の間に高床式の小さな農家がポツン、ポツンとあるだけです。ヤシの木の林には、自由に動きまわる馬や牛、羊、犬、ヤギ、ニワトリ、ネコなどがいて、木の上からは、色々な鳥のさえずりが聞こえてきます。
島の夜は、電気がないため真暗闇で、カンテラを明かりにします。だから、空は星できらめいています。雲もないので、毎日天の川が見えるのです。
今年は、この島には行けなかったけど、来年はもっとインドネシア語を話せるようになって、ギリ・アエル島に行きたいと思います。
(第40回東京都・近県中学生作文コンクール「佳作」作品、『ぶんしゅう』第40号、八王子高等学校、2000年4月、88-89頁)
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